形成外科インスタフォロワーは実力指標か — 811名R²=0.004
形成外科Instagramフォロワー数と来院数の相関R²=0.004でほぼ0。Sultan PRS 2022・米国専門医811名分析が示すフォロワー≠実力の証拠を韓国の形成外科専門医・金誼健院長が整理しました。
韓国豊胸 情報 · 論文解説
ウンヌ整形外科 金誼健(キム・ウィゴン)院長 · 形成外科専門医 ·
参考論文:Sultan DL, Sanati-Mehrizy P, Hwang S, Taub PJ. "Cross-Sectional Analysis of Instagram Use in American Plastic Surgery Practices." Plast Reconstr Surg. 150(6):1368, 2022.
形成外科クリニックのインスタグラム(plastic surgery Instagram)のフォロワー数が、実際のクリニック来院とどの程度結びついているのかを客観的に分析した2022年Plastic and Reconstructive Surgery誌の論文です。ニューヨークMount Sinai・Stanford・USCの共同研究チームが、米国の形成外科専門医811名のSNS活用状況を全数調査に近い形で収集しました。
カウンセリング室でよくいただくご質問があります。「フォロワーが多いところがより上手なクリニックではないですか?」「インスタグラム投稿が多いクリニックが活発なのではないですか?」こうしたご質問にデータで答えられる研究です。
Sultanら2022年の研究では、2000・2005・2010・2015・2019年の5時点で専門医資格を取得された米国形成外科医811名を対象に、各々のクリニックウェブサイト・インスタグラムアカウント・フォロワー数・直近1ヶ月の投稿数を収集し、StatShowという公開ツールで実際のウェブサイトトラフィックまで調査されています。
どのような研究ですか?
米国形成外科専門医の約93%が加入している学会(ABPS)名簿に基づく研究のため、事実上の全数調査に近いものとなります。
- 対象:2000・2005・2010・2015・2019年の専門医資格取得者、計811名
- 収集データ:クリニックウェブサイトの有無、インスタグラムアカウントの有無、フォロワー数、直近1ヶ月の投稿数
- ウェブサイトトラフィック:StatShow公開ツールで測定
- 分析機関:ニューヨークMount Sinai・Stanford・USCの形成外科共同研究チーム
- 研究デザイン:横断面分析(cross-sectional analysis)
核となる結果 — フォロワー数とクリニック来院の相関関係
結果は予想と大きく異なるものでした。
- 専門医のうち43.9%のみがプロフェッショナル用インスタグラムアカウントを運営(ウェブサイト保有率58.6%より低い)
- 上位1%のインフルエンサーが、残り99%のフォロワー合計より多いフォロワーを保有
- フォロワー数と実際のクリニックウェブサイト訪問者数の相関関係:R²=0.004(ほぼ0)
- 美容形成外科専門医の平均ウェブサイト訪問者数:11,431名
R²が0.004であるということは、フォロワー数で実際のウェブサイトトラフィックを予測できる比率がわずか0.4%にすぎないことを意味します。つまり、フォロワーが多いからといって、実際にクリニックを訪問される潜在患者様が比例して多くなるという根拠は、事実上存在しないことになります。
専門別・年度別のSNS活用差
形成外科のなかでも細分専門により、SNS活用度が大きく異なっていました。
- 美容形成外科専門医 — 約80%がクリニックウェブサイトを保有、インスタグラム・フェイスブックも同程度の比率
- 手の外科・マイクロサージャリー専門医 — SNS活用がはるかに低い
- 患者様が自ら選択される分野ほど、SNSマーケティングが活発
年度別には、2010年の認証取得者がSNS活用度のピークを示すベル型カーブが観察されました。あまりに古い認証者はSNS文化そのものに馴染みがなく、あまりに最近の認証者は開業時期が短く、まだ活発な運営段階に至っていないケースが多くなります。
よくある質問
Q. フォロワーが多いクリニックは手術も上手なところではないでしょうか?
A. 本研究の答えは「根拠なし」というものです。フォロワー数と実際のウェブサイト訪問者数の相関関係R²が0.004で、ほぼ0に近い値でした。SNSフォロワーは技量や手術結果と直接結びつく指標ではなく、マーケティング活動の結果です。手術の技量は、累積症例数、専門医資格、実際の手術結果でご確認いただく必要があります。
Q. では、SNSを全く気にしないクリニックのほうが良いのでしょうか?
A. それも正解ではありません。美容形成外科分野では、患者様への教育・口コミ共有・手術過程の説明にSNSが有用なツールとなります。本研究でも美容形成外科専門医の80%がウェブサイトを運営していました。重要なのは「フォロワーの数そのもの」ではなく、「アップロードされるコンテンツに根拠があるか、説明が充実しているか」です。
Q. クリニックを選ぶ際、SNSはどのように活用すべきでしょうか?
A. フォロワー数ではなく、以下の部分をご確認ください。専門医資格・免許・所属学会が明示されているか、副作用・合併症を誠実に説明しているか、論文やデータに基づく説明があるか、実際の手術結果写真が誇張なく提示されているか。インフルエンサー型アカウントよりも診療室型アカウントの信頼度が、統計的により高い傾向があります。
Q. 本研究の限界は何ですか?
A. 3点あります。1つ目、米国のデータのため、韓国・日本の形成外科市場とは文脈が異なる可能性があります。2つ目、StatShowのトラフィック推定値は実際の値と誤差がある可能性があります。3つ目、インスタグラム以外のプラットフォーム(ブログ・YouTube・TikTok)は分析に含まれておらず、SNS全体の効果を反映するものではありません。
この論文を読んで整理した3つのポイント
1点目、フォロワー数は技量との相関関係がほぼ0です。
R²=0.004は、フォロワーで実際のクリニック来院を予測できる比率が0.4%という意味です。「フォロワーが多いクリニック=技量の高いクリニック」には根拠がありません。クリニックの選択基準として、SNSフォロワー数を上位に置かれないことをお勧めいたします。
2点目、専門・開業時期によりSNS活用度が大きく異なります。
美容形成外科専門医は80%がウェブサイトを運営していますが、手の外科・マイクロサージャリーははるかに低くなっていました。2010年認証者がピークとなるベル型カーブも観察されました。SNSが活発でないという理由のみで、専門性を判断することはできません。
3点目、本研究の限界 — 米国データかつインスタグラム単一プラットフォーム分析です。
韓国の形成外科市場はブログ・YouTube・カカオ・TikTokが連動する構造のため、本研究の結論をそのまま適用することは困難です。ただし、「フォロワー数より、コンテンツの根拠性」が重要であるという方向性は、いずれの国でも同様に適用されます。
ウンヌ整形外科は、フォロワー競争よりもデータで説明する道を選択しています。SNSに掲載するすべてのコンテンツを、論文の引用・数値の根拠とともに作成している理由です。クリニックをお選びの際にも、この原則をご記憶いただけますと幸いです。
参考文献:Sultan DL, Sanati-Mehrizy P, Hwang S, Taub PJ. "Cross-Sectional Analysis of Instagram Use in American Plastic Surgery Practices." Plast Reconstr Surg. 150(6):1368, 2022.
本記事は上記論文を医学的専門知識に基づき、一般の方にもわかりやすく解説した内容です。個人によって効果と副作用が異なる場合があり、本記事は診断や治療に代わるものではありません。

