乳房挙上術単独でカップは減少するか — Weichman PRS 2014
乳房挙上術単独施行で平均1カップ減少という9年追跡20名のPRS 2014論文。皮膚-容量比変化メカニズムと術前カウンセリング示唆を韓国の形成外科専門医・金誼健院長が整理しました。
韓国豊胸 データラボ · 論文解説
ウンヌ整形外科 金誼健(キム・ウィゴン)院長 · 形成外科専門医 ·
参考論文:Weichman K, Doft M, Matarasso A. "The Impact of Mastopexy on Brassiere Cup Size." Plastic and Reconstructive Surgery. 134(1):34e-40e, 2014.
「胸はそのままで、下垂だけ引き上げたいです。」
乳房挙上術(Mastopexy)を単独で受けると、ブラカップサイズが平均1段階減少するという研究があります。
今回ご紹介するレビュー論文は、2014年Weichman研究チームがPlastic and Reconstructive Surgery誌に発表した単一術者9年追跡研究です。
乳房挙上術単独でカップサイズは減少するのか
結論から申し上げますと、1点目、挙上術単独施行後にブラカップは平均1段階減少します。本論文(Plastic and Reconstructive Surgery、2014、n=61名)の核となる結果について、以下で詳しく整理してご案内いたします。
どのような研究ですか?
単一術者が挙上術単独で施行された患者様を後ろ向きに追跡した研究です。
- 対象:20名、2004年3月〜2012年1月(61名中インクルージョン28名、アンケート回答20名)
- 包含基準:挙上術単独、切除組織150g以下
- 除外基準:豊胸併施、インプラント除去併施、挙上+豊胸同時施行
- 分析方法:電話・メールアンケート、術前・術後のブラサイズと製造会社・体重・ホルモン変化を直接聴取
- 平均年齢:46.6歳、平均BMI22.8
- Regnault分類:Grade II 80%、Grade III 20%
- 平均追跡期間:4.9年(0.5〜9.3年)
術式はinverted-T方式が85%、vertical-onlyが15%であり、平均切除量は57.8g(4〜149g)でした。通常の乳房縮小術(150g以上)とは異なる「皮膚中心」の挙上術に該当します。
核となる結果 — カップ1段階減少
術前・術後に患者様が直接報告されたブラサイズ変化は以下の通りです。
- 平均カップサイズ変化:−0.90カップ(ホルモン治療で+2カップ増加した1名を含む)
- 当該1名を除外時:−1.05カップ(0〜3カップ減少の範囲)
- バンドサイズ変化:0名 — 周径はそのまま維持
- ブラ製造会社の変更:0名 — 同じブランドで1カップ小さいサイズへ移行
- 合併症:肥厚性瘢痕6例(15%)、その他血腫・乳頭壊死の報告なし
- アンケート回答者の満足度:全員が満足と回答
整理すると、周径はそのままでカップのみが1段階小さくなるパターンです。同じブランドでサイズだけが1段階下がったという点も興味深い結果です。
なぜ減少するのですか?
平均切除量がわずか57.8gにとどまったという点が重要です。1カップサイズ減少に通常必要な容量は135〜180gとされていますが、本研究の切除量はその半分以下です。単純に組織を切除して減少したわけではないことを意味しています。
著者らは皮膚外皮の面積-容量比(Surface-to-Volume Ratio)が変化することでカップが小さくなったと解釈しています。挙上術では下垂された乳房の皮膚を裁断して上方へ引き上げ、再配置された乳房は上極充満感(Upper Pole Fullness)が現れることで、視覚的な容量が再分布されます。
ただし、下垂された乳房は本来ブラジャーがすべての受け支えを担う必要があるため、患者様が普段実際よりも大きいカップを着用されているケースが多くなります。挙上で下垂が解消されると、本来のカップサイズが表れると解釈できます。
本論文では、分析対象者全員が同じブランドのブラをそのまま維持されており、ある患者様は術後17ポンド(約7.7kg)体重が増加したにもかかわらず、カップは1段階小さい状態が維持されました。単純な体重変動が作った変化ではなく、挙上そのものが作った変化であることを示しています。
よくある質問
Q. 挙上術のみを受けると、乳房は小さく見えますか?
A. 平均的にブラカップ1段階程度小さくなったように感じられると報告されています。組織を多く切除しなくても、皮膚が裁断されることで視覚的な容量が再分布されるためです。
Q. 容量を維持するにはどうすればよいですか?
A. 挙上+豊胸(Augmentation-Mastopexy)の併施をご検討いただけます。インプラントで容量を補強しながら、同時に下垂を矯正する方式です。ただし、合併症の負担が挙上単独より大きくなるため、乳房状態と患者様のご目的に応じてご決定いただく必要があります。
Q. ブラサイズは本当に客観的な指標ですか?
A. 限界があります。カップサイズはバスト幅と形状を反映しない単純な周径差の測定値であり、下垂された乳房の患者様は支え目的で実際より大きいカップを着用される傾向があります。ただし、患者様がご自身の乳房を最もよく表現される単位であるため、術前カウンセリングでは重要なコミュニケーション指標となります。
Q. 本研究は誰にでも適用できますか?
A. そうではありません。サンプルサイズが20名と小さく、術前C カップ以上でBMIが正常範囲の患者様のみが含まれました。Aカップ・大量体重減少後・高度肥満の患者様には、本研究の結論をそのまま適用することは困難です。詳細につきましては、医療従事者とのご相談を推奨いたします。
この論文を読んで整理した3つのポイント
1点目、挙上術単独施行後にブラカップは平均1段階減少します。
20名の患者様の9年追跡で平均−0.90カップ、1名除外時は−1.05カップと一貫したパターンが確認されました。周径はそのままでカップのみが1段階小さくなる形態でした。
2点目、容量が減少するのではなく、皮膚-容量比が変化するためです。
平均切除量57.8gは、1カップ減少に必要な容量の半分にも届きません。挙上により外皮が裁断されることで乳房が上方へまとまり、結果として本来のカップサイズが表れると解釈されています。
3点目、本研究にも限界があります。
サンプルサイズが20名と小さく、単一術者の後ろ向き設計であり、術前Cカップ以上・BMIが正常範囲の患者様に限定されました。Aカップ・大量体重減少後の患者様にそのまま一般化することは困難です。ただし、挙上術をご検討の患者様に「カップがそのまま維持されない可能性がある」という情報をお伝えする必要があるという臨床的示唆は明確です。
私はこの論文において、分析対象者の全員が同じブラ製造会社をそのまま維持されたという部分が印象的でした。挙上が作った変化が単純な測定誤差ではなく、実際のサイズ変化として一貫して認識されたことを意味しています。下垂された乳房は、ご自身が着用されているブラよりも実際のお胸はより小さいケースが多くなります。挙上後にはその本来のサイズが表れます。この点を術前に正確にご案内することが、患者様の満足度向上の核となると考えています。
参考文献:Weichman K, Doft M, Matarasso A. "The Impact of Mastopexy on Brassiere Cup Size." Plastic and Reconstructive Surgery. 134(1):34e-40e, 2014. DOI: 10.1097/PRS.0000000000000288
本記事は上記論文を医学的専門知識に基づき、一般の方にもわかりやすく解説した内容です。個々の手術結果は体型、インプラントの種類、執刀医の手技、手術環境によって異なることがあり、本記事は診断や治療に代わるものではありません。

