結節状乳房(Tuberous Breast)の分類と矯正 — PRS 2015解説
結節状乳房変形(Tuberous Breast)の3段階分類と乳輪切開・glandular scoring・デュアルプレーン術式。26名51胸のPRS 2015論文をBREAST-Q 90点データを韓国の形成外科専門医・金誼健院長が整理しました。
韓国豊胸 情報 · 論文解説
ウンヌ整形外科 金誼健(キム・ウィゴン)院長 · 形成外科専門医 ·
参考論文:Kolker AR, Collins MS. "Tuberous Breast Deformity: Classification and Treatment Strategy for Improving Consistency in Aesthetic Correction." Plastic and Reconstructive Surgery. 135(1):73-86, 2015.
結節状乳房変形(Tuberous Breast Deformity、トゥーべラスブレスト)を3段階に分類し、26名・51胸を手術した結果が、2015年Plastic and Reconstructive Surgery誌に発表されました。
本記事では、この問いにデータで答えた論文をご紹介いたします。Mount Sinai医科大学のKolkerおよびCollins研究チームによる、単一術者の5年経験を整理した分類・治療戦略論文です。
結節状乳房(Tuberous Breast)の分類と矯正
結論から申し上げますと、結節状乳房変形(Tuberous Breast Deformity)を3段階に分類し、26名・51胸を手術した結果が、2015年Plastic and Reconstructive Surgery誌に発表されました。本論文(Plastic and Reconstructive Surgery、2015、n=26名)の核となる結果について、以下で詳しく整理してご案内いたします。
結節状乳房変形とは
結節状乳房変形(Tuberous Breast Deformity)は、思春期以降に乳房が発達する過程で現れる先天性変形です。乳房の基底部が狭く、組織量が不足し、乳輪が突出するなど、複数の特徴が同時に現れます。
- 乳房基底部の狭窄(base constriction) — 乳房周径が狭く上方へ突出した形態
- 組織低形成(parenchymal hypoplasia) — 乳房自体のボリューム不足
- 下部皮膚不足(inferior skin deficiency) — 下方の皮膚が不足し下垂を生じる
- 乳房下溝の上方偏位(IMF malposition) — 乳房下境界が上方に位置する
- 乳輪ヘルニア(areolar herniation) — 乳輪が風船状に膨らんで見える
- 左右非対称 — 両側で程度が大きく異なるケースが多い
特徴の組み合わせと程度が患者様ごとに異なり、同じ方でも左右で異なるケースが多いため、手術結果の一貫性を作ることが困難です。そのため、分類体系が重要となります。
3段階分類体系
著者らは、Meara氏が提示した3段階分類を補完し、以下のように整理しました。
- Type I(軽度):基底部狭窄が軽度、乳房下溝は外側正常・内側のみわずかに上昇、皮膚は十分、ボリューム欠損は少ないかなし(稀に肥大)、乳輪は拡張
- Type II(中等度):狭窄中等度、乳房下溝の内・外側ともに上昇、下部皮膚不足、中等度のボリューム欠損、下垂はなしまたは軽度、乳輪は正常〜中等度のherniation
- Type III(重度):狭窄強度、乳房下溝全体が上昇またはほぼ欠如、全般的な皮膚・ボリューム不足、軽度〜中等度の下垂、強い乳輪herniation
この分類は単に「重い・軽い」を示すだけでなく、具体的にどの解剖学的要素が欠損していて、どの部分を解放すべきかを事前に示すツールとなります。手術計画が患者様ごとに変わる出発点となります。
手術戦略と結果
本研究の26名・51胸の結果を整理すると、以下の通りです。
- 対象:26名、51胸、平均25歳(18〜39歳)、2008〜2012年施行
- 分布:Type I 12胸、Type II 26胸、Type III 13胸
- アプローチ:全症例で乳輪周囲(periareolar)切開
- 組織解放:全症例で放射状glandular scoring
- インプラント位置:全症例で筋肉下(デュアルプレーン)
- 挙上術式:circumareolar mastopexy 96%(49胸)、vertical mastopexy 8%(4胸)
- 段階:1段階でインプラント直接挿入92%(47胸)、組織拡張器後の2段階8%(4胸)
- 平均追跡期間:22ヶ月(8〜37ヶ月)
合併症は以下の通りでした。
- 全体合併症率:7.8%
- カプセル拘縮(Baker Grade III):3.9%(2胸)
- インプラント位置異常:3.9%(2胸)
- 感染、血腫、漿液腫:0件
BREAST-Q満足度評価(0〜100点)は以下の通りです。
- 全体結果満足度:83 ± 11点
- 乳房満足度:90 ± 11点
- 心理・社会的満足度:82 ± 14点
- 性生活満足度:79 ± 17点
独立評価者が術後写真を評価した結果、優秀(excellent)62%、非常に良い23%、良い15%という結果となり、poor評価は1名も出ませんでした。
核となる術式の原則は4つにまとめられます。1点目、乳輪周囲切開により、すべての操作を1つの経路で完結させること。2点目、狭くなった乳房基底部を放射状に切開して解放すること(glandular scoring)。3点目、インプラントは必ず筋肉下デュアルプレーンに挿入すること。4点目、乳輪の形状・サイズ・下垂程度に合わせて挙上方式を段階的に追加すること。
よくある質問
Q. 結節状乳房は単純な乳房下垂と異なるのですか?
A. 異なります。結節状乳房変形は、思春期に乳房が正常に発達できなかった先天性構造異常です。単純な下垂は、乳房が正常に発達した後に時間・重力・体重変化により伸展した状態です。乳房基底部が狭く、乳輪が突出し、乳房下溝が上方にある場合は結節状乳房変形の可能性があり、正確な分類診断が必要となります。
Q. インプラントの挿入のみで矯正可能ですか?
A. Type Iの一部では可能な場合もありますが、ほとんどのケースでは単純なインプラント挿入のみでは不十分です。狭くなった乳房基底部を放射状切開で解放する操作(glandular scoring)が併せて必要となり、乳輪が突出している場合はcircumareolar mastopexyで同時に矯正します。本研究でも96%で挙上術が併施されました。
Q. 1回で完了できますか?
A. 本研究では92%が1段階手術で完了しています。ただし、皮膚と組織が極めて不足するType IIIの一部では、組織拡張器を先に挿入して皮膚を伸展させた後、2段階目でインプラントに置換する方式が安全でした(8%)。患者様の皮膚状態と変形程度に応じて、段階をご決定いたします。
Q. 合併症はどの程度ですか?
A. 本研究の全体合併症率は7.8%でした。カプセル拘縮(Baker Grade III)3.9%、インプラント位置異常3.9%であり、感染・血腫・漿液腫は0件でした。追跡22ヶ月時点のデータであり、より長期の追跡が必要な結果です。詳細につきましては、医療従事者とのご相談を推奨いたします。
この論文を読んで整理した3つのポイント
1点目、結節状乳房変形は分類から正確に行う必要があります。
3段階分類は単に重症度を分けるだけでなく、狭窄・皮膚・ボリューム・下垂・乳輪の5つの解剖学的要素をそれぞれ評価するツールです。Type Iはインプラント+乳輪整理で完了するケースが多い一方、Type IIIでは皮膚拡張と組織解放が同時に必要となります。診断段階でどの要素が不足しているかを分離して把握することで、手術計画が組み立てられます。
2点目、核となる術式は4つがセットで組まれます。
乳輪周囲切開、放射状glandular scoring、筋肉下デュアルプレーンインプラント、段階的挙上術が1セットとして適用されました。この組み合わせが96%の症例で使用され、合併症7.8%、BREAST-Q乳房満足度90点、独立評価者の優秀評価62%という結果を導きました。単一術者データという限界はありますが、一貫した結果の可能性を示す数値です。
3点目、本研究には明確な限界があります。
26名・51胸の単一術者後ろ向き研究であり、平均追跡期間が22ヶ月と長くはありません。インプラント施術は5〜10年時点でのカプセル拘縮率がより意味を持つため、本結果をそのまま長期安全性として読み取ることはできません。また、患者様の平均年齢が25歳と比較的若年層であるため、他の年齢層への一般化は困難です。
私はこの論文において、BREAST-Q乳房満足度が90点と非常に高く出た部分が印象的でした。結節状乳房変形は、患者様が思春期から乳房形状に対するコンプレックスを長く抱えてこられたケースが多いため、分類に合わせた正確な矯正がもたらす心理的変化も大きいといえます。診療において、単に「胸を大きくする手術」ではなく「先天性構造異常を矯正する手術」であることを明確にご案内することが、患者様のご期待値と満足度を整合させる要だと考えています。
参考文献:Kolker AR, Collins MS. "Tuberous Breast Deformity: Classification and Treatment Strategy for Improving Consistency in Aesthetic Correction." Plastic and Reconstructive Surgery. 135(1):73-86, 2015. DOI: 10.1097/PRS.0000000000000823
本記事は上記論文を医学的専門知識に基づき、一般の方にもわかりやすく解説した内容です。個々の手術結果は体型、インプラントの種類、執刀医の手技、手術環境によって異なることがあり、本記事は診断や治療に代わるものではありません。

