デュアルプレーン豊胸 — Type I・II・IIIの違い(Tebbetts 2001)
デュアルプレーン豊胸のType I・II・III分類は乳腺-筋肉剥離範囲の違い。Tebbetts PRS 2001・468名による乳房タイプ別のオーダーメイド適応を韓国の形成外科専門医・金誼健院長が整理しました。
韓国豊胸 データラボ · 論文解説
ウンヌ整形外科 金誼健(キム・ウィゴン)院長 · 形成外科専門医 ·
参考論文:Tebbetts JB. "Dual Plane Breast Augmentation: Optimizing Implant–Soft-Tissue Relationships in a Wide Range of Breast Types." Plast Reconstr Surg. 107(5):1255-1272, 2001.
デュアルプレーン豊胸(dual plane breast augmentation)は、大胸筋と乳腺組織の剥離程度を調整して、患者様の乳房タイプに合わせて適用する術式です。1992〜1998年に米国ダラスのTebbettsが468名の手術経験を整理した2001年Plastic and Reconstructive Surgery誌の論文が、この概念を初めて体系的に確立し、現在もなお豊胸の教科書的な内容として引用されています。
「デュアルプレーンって何ですか?筋膜下とは違うものですか?」単に位置を決める問題ではなく、インプラントと軟部組織の関係を設計する概念であるため、位置のみを問題にする従来の分類では説明が不十分でした。
Tebbettsの研究は、7年間の連続症例468名を基に乳房タイプを体系的に分類し、各タイプに合う3つの変形(Type I・II・III)を提唱しました。本記事ではこの論文に基づき、デュアルプレーンがどのような方式で、どのような方に必要なのかを整理してご案内いたします。
インプラントの挿入位置はなぜ重要なのでしょうか?
豊胸手術においてインプラントを挿入する位置は、大きく3種類に分けられます。各方式は長所と短所が明確であり、患者様の乳房タイプに応じて適した選択が異なります。
- 乳腺下(sub-glandular) — インプラントが乳腺組織の直後に位置。手術が簡便で自然な形状を作成できますが、組織が薄い方ではインプラントの輪郭が透けて見える可能性があります。
- 部分筋肉下(partial submuscular) — 大胸筋がインプラント上部を覆い、上極が自然に見えるようにする方式。現在最も広く行われている方式です。
- 全層筋肉下(total submuscular) — カプセル拘縮リスクは低くなりますが、乳房下方ラインが不自然になったり、インプラントが上方へ押し上げられる傾向が生じる可能性があります。
1つの方式がすべての患者様にとって最良であるケースは稀となります。「どの方にどの位置が適しているか」を判断することが、カウンセリングの要となります。
デュアルプレーンとは何ですか?
デュアルプレーン(dual plane)は、インプラント位置そのものよりも、インプラント周囲の大胸筋の剥離程度を調整する概念です。筋肉下にインプラントを挿入しつつ、インプラント下部で大胸筋と乳腺の間を一定範囲剥離して、上部は筋肉が覆い、下部は筋肉がない構造を作成します。
- 上部 — 大胸筋がインプラントを覆い、上極ラインが自然に連結
- 下部 — 筋肉剥離によりインプラントが乳腺組織と直接接触し、下方のボリュームを十分に確保
このように異なる2つの平面(plane)を同時に使用することから、「デュアルプレーン(dual plane)」という名称が付けられました。単独筋肉下挿入または単独乳腺下挿入の限界を同時に補完するアプローチです。
Type I・II・III — 3つの変形
Tebbettsは468名の経験を基に、デュアルプレーンを3つのタイプに体系化しました。各タイプは筋肉-乳腺剥離範囲が次第に広がり、乳房タイプに応じて選択が異なります。
Type I — 筋肉下端境界のみをわずかに剥離
大胸筋起始部のみを軽く切離し、筋肉-乳腺間の追加剥離は最小化します。乳房組織が十分に厚く、下垂がほぼなく、乳腺が下方によく伸展される一般的な体型に適応します。術後にインプラントが自然に大胸筋による保護を維持しつつ、上極・下極ともに均等なボリュームを示します。
Type II — 乳頭の高さまで筋肉-乳腺を剥離
筋肉-乳腺間の剥離を乳頭の高さまで拡張します。乳頭下方で筋肉と乳腺が強く付着していて、そのままにするとインプラントが下方へ十分に伸展しない可動性の低い乳房に適応します。より自然な下極の曲線を得ることができます。
Type III — 乳輪上端まで最も広く剥離
筋肉-乳腺剥離範囲を乳輪上端まで拡張する、最も広範な変形です。乳房がやや下垂しているケース、または下極空間が狭い楔形乳房に適用します。インプラントが下極全体に均等に伸展し、下垂矯正効果も同時に得ることができます。
整理すると以下のようになります —
- Type番号が大きくなるほど、筋肉-乳腺剥離範囲が広くなる
- 剥離が広くなるほど、多様な乳房タイプに対応可能
- ただし過度な剥離は筋肉支持力の低下につながる可能性があるため、患者様ごとのオーダーメイド判断が必須
どのような方にデュアルプレーンが必要ですか?
デュアルプレーンが特に有用となるケースは以下の通りです。
- 乳頭下方の乳腺組織が薄いケース — インプラントが収まる空間の確保が必要
- 皮膚弾力が低く、下極の伸展補助が必要なケース
- 軽度の下垂を伴う乳房 — Type IIIで下垂矯正効果も併せて得られる
- 乳腺-筋肉が強く付着しており、単純筋肉下挿入では下極ボリュームが不足するケース
反対に、乳腺組織が十分に厚く皮膚弾力が良好な方の場合は、筋膜下または単純な部分筋肉下方式でも良好な結果が得られます。「デュアルプレーンがすべての体型に対してより良い方式」ではなく、「どの乳房タイプにどの剥離程度が合うか」を判断する概念となります。
よくある質問
Q. デュアルプレーンと筋膜下は異なりますか?
A. はい、異なります。筋膜下(subfascial)は大胸筋上の筋膜と乳腺の間にインプラントを挿入する方式であり、デュアルプレーン(dual plane)は大胸筋下にインプラントを挿入しつつ筋肉-乳腺の剥離程度を調整する方式です。インプラントが配置される解剖学的層が完全に異なります。カウンセリング時に、乳房の厚さ・皮膚弾力・下垂の有無に応じて、どちらの方式が適しているかを判断いたします。
Q. Type I・II・IIIの選択基準はありますか?
A. ピンチテスト(pinch test)で測定した乳腺の厚さ、乳腺-筋肉付着程度、下垂段階が核となる基準です。乳腺が厚く下垂のない一般体型はType I、乳頭下方の乳腺-筋肉が強く付着している可動性の低い乳房はType II、軽度の下垂または楔形乳房はType IIIが適応となります。カウンセリングで理学的検査と画像により、オーダーメイドの判断を行います。
Q. デュアルプレーンはアニメーション変形(動的変形)リスクを完全に解消しますか?
A. リスクを減少させますが完全には解消しません。大胸筋が上部を覆うため、大胸筋収縮時にインプラントが圧迫されて形状が変化するアニメーション変形が発生する可能性があります。運動を多くされる方やフィットネス活動が頻繁な方の場合は、筋膜下方式または筋肉分割(split muscle)手技をご検討いただけます。
Q. 本論文の限界は何ですか?
A. 3点あります。1つ目、単一執刀医(Tebbetts)の連続症例であるため、結果が術者の熟練度に大きく依存します。2つ目、無作為対照群ではなく観察研究のため、他の方式との直接比較根拠は限定的です。3つ目、1992〜1998年のデータのため、以降のインプラント技術変化(ナノテクスチャード、エルゴノミックジェルなど)の影響については別途研究が必要です。
この論文を読んで整理した3つのポイント
1点目、デュアルプレーンは単一手技ではなく、オーダーメイド分類体系です。
Type I・II・IIIはそれぞれ異なる乳房タイプに対する解答です。「デュアルプレーンで手術した」という説明だけでは実際の手術範囲が把握できず、どのTypeをなぜ選択したかがより重要な情報となります。
2点目、乳房タイプの判断がすべての出発点です。
乳腺の厚さ・皮膚弾力・乳腺-筋肉付着程度・下垂段階を正確に評価しなければ、いずれのTypeも良好な結果につながりにくくなります。カウンセリング時の理学的検査と画像判読は、実際の手術と同等に重要となります。
3点目、本論文の限界 — 単一執刀医の観察研究です。
Tebbetts氏個人の熟練した判断に基づく結果のため、他の執刀医にそのまま適用された場合、同じ結果を期待することは困難です。ただし、その後数多くの機関が同じ原則で再現結果を発表したことにより、現在は豊胸手術の標準概念として確立されています。
同じ「筋肉下豊胸」であっても、細部の方式はそれぞれ異なります。デュアルプレーンがご自身に適しているかは乳房タイプに応じて変わるため、術前カウンセリングでご自身の乳房タイプを正確に評価いただくことが重要となります。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
参考文献:Tebbetts JB. Dual Plane Breast Augmentation: Optimizing Implant–Soft-Tissue Relationships in a Wide Range of Breast Types. Plast Reconstr Surg. 107(5):1255-1272, 2001. DOI: 10.1097/00006534-200104150-00027
本記事は上記論文を医学的専門知識に基づき、一般の方にもわかりやすく解説した内容です。個人によって効果と副作用が異なる場合があり、本記事は診断や治療に代わるものではありません。

