豊胸の切開位置|腋窩と乳房下溝、傷あとと剥離距離の違い
豊胸の切開は腋窩と乳房下溝が標準で、長さはどちらも3〜3.5cm。差は剥離距離にあります。傷あとの残り方、被膜拘縮の報告値の読み方、再手術での違いを韓国の形成外科専門医が解説します。
バスト整形 情報 · 切開位置と傷あと
UNE美容外科 金誼健院長 · 韓国の形成外科専門医 ·
切開の長さは腋窩(脇の下)も乳房下溝(バストの下のライン)も3〜3.5cmでほぼ同じです。差は長さではありません。
分かれるのは切開位置からインプラントのポケットまでの剥離距離で、腋窩は遠く、乳房下溝は近い。ここから精度・止血・再手術の扱いやすさが決まります。
乳輪縁切開は被膜拘縮のリスクが高く、韓国の臨床ではほとんど使われていません。当院でも採用していません。
豊胸手術の切開位置は、韓国では腋窩(Axillary)と乳房下溝(Inframammary/IMF)の2つが標準です。
どちらが優れているという結論はありません。傷あとを見せたくない場面、剥離の複雑さ、再手術の可能性という3つで選び分けます。この記事では、それぞれの利点と限界、そして引用されやすいデータの読み方までを整理します。
切開の長さは、どちらも3〜3.5cm

意外に知られていませんが、切開の長さ自体は両者でほとんど変わりません。いずれも3〜3.5cmです。
違うのは位置と、図の点線が示す剥離距離です。腋窩からはポケットまで遠く、乳房下溝からはすぐ近くに届きます。この距離が、術中の視野・止血・剥離精度をそのまま左右します。
腋窩切開 ── バストに傷を残さない
最大の利点はバスト自体に傷が残らないことです。傷は腋窩のしわに隠れ、日常ではほとんど視認されません。傷の質も乳房下溝より良好な傾向があります。
適しているのは次のような方です。
一、露出のある服やドレスを着る機会が多い
二、バストに傷を残したくない
三、乳房下溝が明瞭でない(下垂の少ない若年例など)
一方で限界もあります。剥離距離が遠いため内視鏡(エンドスコープ)の技量に結果が左右されます。デュアルプレーン Type II・III のような複雑な剥離では難度が上がり、出血時の止血視野も直視下より制限されます。
乳房下溝切開 ── 剥離精度と再手術に強い
ポケットの至近から入るため、剥離の精度を出しやすいのが最大の強みです。層を分ける複雑な剥離にも対応しやすく、出血時は直視下で即座に止血できます。
傷は乳房下溝の自然なしわに隠れるため、立位・着衣時には見えません。ただし仰臥位や上体を起こした姿勢では視認されることがあり、痩せ型の方ほど目立ちやすくなります。
そして臨床上もっとも差が出るのが再手術です。被膜切除(Capsulectomy)や被膜縫縮(Capsulorrhaphy)を要する複雑な修正では、狙った部位に直接到達できる乳房下溝が有利です。腋窩から挿入した症例でも、再手術時に乳房下溝へ新たに切開を加えることがあります。
報告されている数値と、その読み方
切開位置の比較でよく引用されるのが次の報告です。
Jacobsonら(2012年・183例336側)の分析では、被膜拘縮の発生率は腋窩 6.4%、乳房下溝 0.5%と報告されています。
数値だけを見れば乳房下溝が優位に見えます。ただしこの差の内実は、切開位置そのものではありません。
腋窩切開は内視鏡手技への依存度が高く、出血への対応が遅れると剥離環境が乱れ、それが被膜拘縮の要因になり得ます。つまりこの6.4%には術者間のばらつきが含まれています。
実際、内視鏡に習熟した術者による初回手術では、所要時間は両者とも27〜40分程度でほぼ同等です。近年は内視鏡の解像度が向上し、直視下では見えにくい微小血管まで確認できるため、熟練者であれば出血をほぼ生じさせずに進められます。
したがってこの数値は「乳房下溝が優れている」ではなく、「腋窩切開は術者を選ぶ」と読むのが妥当です。
乳輪縁切開を採用しない理由
乳輪縁(Periareolar)切開は色調の境界に沿うため、なじめば目立ちにくくなります。
ただしこの経路は乳管を通過します。そのため被膜拘縮のリスクが他の切開より高いと報告されており、韓国の臨床では現在ほとんど用いられていません。当院でも採用していません。
再手術で同じ傷を使えるとは限りません
見落とされやすい点を補足します。乳房下溝から再手術を行う場合でも、必ずしも既存の傷を再利用できるわけではありません。
インプラントの直径が変われば乳房下溝の位置自体が移動するため、新しい下溝の位置に切開を設ける必要が生じます。修正の可能性を見込む方には、初回の段階からこの点をご説明しています。
当院での選択基準
診察では次の3点を確認し、切開位置を決めています。
一、傷を見せたくない場面はどこか 水着・温泉を重視するなら腋窩、腕を上げる機会が多い職種なら乳房下溝と、優先順位が入れ替わります
二、剥離の複雑さ 層を細かく分ける必要があるほど乳房下溝が有利です
三、再手術の可能性 修正を見込む場合は初回から乳房下溝を提案することがあります
初回手術・標準的な剥離・美観優先という条件が揃う場合は、腋窩を選ばれる方が多くなります。
傷あとのケアで実際に効くこと
術後のケアは、複雑なことをするより基本を続けるほうが結果に出ます。
一、テープによる固定 傷にかかる張力を減らすことが、肥厚性瘢痕の予防にもっとも効きます
二、紫外線を避ける 色素沈着を防ぎます。海やプールでは特に注意が必要です
三、強くこすらない シャワーは手術当日から可能ですが、切開部を直接こすらないでください
市販のシリコンジェルやクリームは補助的な位置づけです。テープ固定と遮光を優先してください。
ケロイド・肥厚性瘢痕の既往がある方へ
既往のある方は、診察時に必ずお知らせください。体質によっては次の対応をとります。
一、切開位置の変更 過去に問題が出た部位を避けます
二、テープ固定期間の延長 通常より長く継続していただきます
三、経過観察の頻度を上げる 早期に対処できるようにします
体質そのものは変えられませんが、張力の管理と早期対応で経過は変わります。
よくあるご質問
Q. 傷あとは完全に消えますか?
完全に消えることはありません。赤みは6か月ごろまで続き、そこから白く落ち着いていきます。1年を過ぎると多くの方が気にされなくなる程度になります。
Q. 腋窩切開でも腕を上げれば見えますか?
腋窩のしわの中に収まるため、挙上時でもかなり分かりにくい位置です。ただし完全に見えないわけではありません。
Q. 脱毛やワキ汗の治療に影響しますか?
傷が落ち着いてからであれば問題ありません。時期については診察でご相談ください。
Q. 授乳への影響はありますか?
腋窩・乳房下溝はいずれも乳管を通らないため、授乳機能への直接的な影響は少ないとされています。乳輪縁切開を避けている理由のひとつでもあります。
Q. 切開位置は自分で選べますか?
ご希望は最優先で伺います。ただし剥離の複雑さによっては、精度を確保できる位置をご提案することがあります。
まとめ
一、切開長は腋窩・乳房下溝とも3〜3.5cm。差は長さではなく剥離距離にあります
二、腋窩=バストに傷を残さない/乳房下溝=剥離精度と再手術に強い
三、引用される被膜拘縮の数値は術者の内視鏡経験を含んだ数値であり、切開位置そのものの優劣ではありません
当院では「どちらが良いか」ではなく、「どの場面で見られたくないか」から伺っています。そこが定まると、選択は自然に絞られます。
豊胸手術の術式・インプラントの種類・費用については豊胸手術(韓国)|UNE美容外科にまとめています。個別のご相談はLINEから日本語で承ります。
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※ 豊胸手術(シリコンインプラント挿入術)は自由診療です。腫れ・内出血・痛み・傷あと・左右差・被膜拘縮・リップリング・インプラントの位置異常や破損などのリスクがあります。個人によって効果や副作用は異なることがあり、すべての方に同じ結果をお約束するものではありません。適応と費用は診察のうえでご案内しています。
※ 本記事は当院の診療方針と公開されている資料をまとめたものです。診断に代わるものではありません。
よくある質問
Q. 腋窩切開と乳房下溝切開はどちらがいいですか?
A. どちらが優れているという結論はありません。傷あとを見せたくない場面・剥離の複雑さ・再手術の可能性の3つで選び分けます。切開の長さはどちらも3〜3.5cmでほぼ同じです。
Q. 傷あとはどのくらい目立ちますか?
A. 腋窩切開はバスト自体に傷が残らず、脇のしわに隠れます。乳房下溝切開はバストの下のラインに沿うため、正面からは見えにくい位置です。いずれも時間とともに目立ちにくくなります。
Q. 乳輪の切開は行わないのですか?
A. 乳輪縁切開は被膜拘縮のリスクが高く、韓国の臨床ではほとんど使われていません。当院でも採用していません。


